「会えないだぁ?」



訳が分からないと眉間にシワを寄せる灰色。



「そう」



頷くあたしの耳に溜め息が入ってくる。聞こえた方へと視線を向ければ保健医が居て。



「…まぁ、"あれだけの事"があればな。瑠依と会うのも気まずいだろうが」



"あれだけの事"と言う保健医にあたし体温が一気に下がる。


あぁ、この人は"あの時"の事まで知ってる。だから、自分が治療しないで紗耶香さんって人をわざわざ呼んでくれたんだ。



「取り敢えず、紗耶香がもう来るからお前は治療が終わるまで外な」



はい出た出た、と灰色の背中を押して保健室から追い出した。



扉が閉まる直前、銀色とオレンジ色が見えた。なんだ来てたのか。



「妹ちゃん」



ボーッとしていれば掛けられた声。



「は、い」



なんとか返事を返せば苦笑いを返される。