だって、仲良くなる気もないし。
それに仲良くする気なんて、
「なんで、俺がブスを待ってなきゃなんねぇんだよ。とっとと行くぞ」
この人達にだってない。
灰色と向かうのは龍神の幹部が溜まってる空き教室。
お昼ご飯を食べる時は必ず此処だ。
灰色とか銀色とかは、此処でいつもサボってるらしいけど。
あたしには関係のないことで。
「あー、腹減った!!」
「煩いよ、コータ」
勢い良く扉を開いて、ドンドンと足を鳴らしながら教室に入っていく灰色に金色が眉間にシワを寄せる。
「しょうがねぇだろ。ブスを迎えに行く所為で腹減ってんの我慢してんだから」
やだやだ、と首を竦める灰色を前髪越しにそっと見る。
顔が見えないように伸ばされた前髪に一つに束ねられた髪、それと伊達眼鏡。
あたしの作る"壁"。
あとは身を守るための"鎧"。
そうしていればこんな奴、知ろうとも思わないでしょ?
「いいから、さっさと食うぞ」
どうやら我慢の限界らしい灰色が、パンの袋を開けながらそう言う。
それにならって、他の人もそれぞれ弁当やパンを食べ始める。