「タカ?おー見つかった。保健室な」
銀色に電話を掛けた灰色は数秒で電話を終わらせる。なんて短い電話だろうか。
「あとは…瑠依さんか」
瑠依さんと兄の名前を口にする灰色に、
「兄、には連絡しないで」
お願いする。
「は?なんでだよブス」
思い切りあたしを睨みつけてくる灰色。どうでもいいけど、こんな時までブス呼ばわり。
灰色らしいと言えばそうなんだけれど。
「兄が来ると面倒だから」
ポツリと言えば灰色が舌打ちを零す。
「面倒ってお前…瑠依さんはお前を心配して、」
「それに」
心配してる、きっとそう言おうとする灰色の言葉を遮る。
「あたしは、兄に…会えないから」
正確には会いたくない、だけれど。