「コータが保健室に連れて行ってるよ」
保健室。その言葉で雅之の瞳が揺れた。それに気付かないフリをして踵を返す。
「俺は後で様子を見に行くよ」
昨日はリンチ。今日はあの子の髪が切られていた。
流石にいくら嫌いな姫だからと。いくら瑠衣さんに押し付けられた姫だからと。そんな逃げは通用しない事態だ。
「俺と雅之でこの女達は拷問部屋に連れて行くので、マオさんは姫のとこ行って下さい」
幸人が微笑む。言ってる内容は、とても微笑むようなものじゃないけれど。
「…頼むよ」
どうしようか迷ったものの、彼女が気になっていたのは事実なので言葉に甘える事にする。
「あ、あのね」
此処を立ち去る前に、醜い女の子達の前にしゃがみ込む。
「どうしてこんなに可愛い人に気付かなかったんだろう、って言ったよね?」
ついこの間。あの子をお昼休みに迎えに行った時に俺が言った言葉。
「気付く筈も無いよ。こんなに心が醜い子達だったんだから」
はぁ、と溜め息を吐き出せば悲鳴に近い声を上げて泣き出した醜い子達。