考えてる間にも勢い良く前髪が掴まれる。どんどん近付いてくる鋏にギュッと目を閉じて、身体を縮こめて逃げようと抵抗して。


「次はあ〜、この鬱陶しい前髪を切って……」

「なぁ、なにしてんの?」


いざ鋏があたしの前髪を挟もうとしたその時。低い、低い、静かな声が校舎裏に響いた。



「あ、あの、これは」
「違うんです!その、えっと、」
「この子が!この子が切ってって頼んできたんです」



「だから、その、」



予想してなかった人の登場にパニックになってる彼女達。鋏を背中に隠しながら、それぞれが必死に言い訳を言い並べる。


だけど彼はそんな言い訳なんて聞いてもいなくて。



「なにしてんのかって聞いてんだよ」



再度、静かに彼女達に問い掛けた。


何をしていたのか、と。


答えは簡単。
龍神の"飾り物のお姫様"をリンチしてました、だ。