「そうですか。報告なんてしませんよ」



未だに気まずそうにしている彼に言葉を返す。



「は?」

「報告、しません」



訳が分からないと言いそうな彼にもう一度声に出す。



「あの人達には絶対。何も言いません」



これはあたしの意思。


「なんでだよ」


眉間にシワを寄せる彼はきっと優しいのだろう。


だけど、多分。あたしの事は嫌い。



だからあたしは龍神の人達にはこれ以上迷惑を掛けられない。嫌いな奴を気に掛ける事だって面倒臭いでしょう?


「これ以上、あたしなんかの所為で龍神の人達には嫌な思いして欲しくないから」



そう言えば目を見開いて固まる彼。



「だから。お願いだから誰にも言わないで下さい」



お願いします、と座ったまま頭を下げる。