「おい」



膝を抱えて顔を埋めていれば多分あたしに掛けられた声。



「は、い?」



顔を上げれば複雑そうな表情であたしを見下ろす男の人。多分、あたしより年上の人。


何を言われるのだろうと身構えていれば、



「お前今日の事幹部の皆さんに報告したのか?」



言われたその言葉は大きな爆弾だった。



「な、んで」


見られていたという事実に声が震える。どうしよう。



「なんでって、校舎裏でサボってたらお前が連れて来られたから」



気まずそうに言葉を続ける彼。あの時感じた木の裏の気配はこの人だったのか。


もしかしてこの人はなんで助けなかったのかと言われると思ってこんなに気まずそうなのだろうか。


……そんな事、なにがあっても言わないのに。