「瑠依さんが、お前はちゃんと食ってるのかって」



初めて、だった。銀色から会話を始められた事も、兄が人伝いにあたしの事を知ろうとした事も。



いつもは帰るだとか送るだとか、銀色の口からあたしに向けられる言葉は連絡事項みたいなものだったから。


だけどそれが鬱陶しく感じて仕方がない。兄が心配しているのも分かるけど、それすらも鬱陶しくて。



「食べて、ます」


息を吐き出すように嘘をついた。必要最低限しか口にしていない。でも生きてるし問題ないでしょ。



「そうか。それなら…」

「嘘つけ」



それならいい。きっと銀色はそう言おうとしていた。だけどそれを遮って、嘘と言ってきた隣の奴。

思わず隠す事なく溜め息を吐き出す。



「溜め息吐きてぇのは俺だブス。あれだけ軽いくせに何言ってんだ」



ちゃんと食ってる奴はあんな重さじゃねぇ、とあたしを睨みつける灰色。そんな事言われても、食欲なんて湧かないのだから仕方ないとおもう。