「だからトロいっつってんだろ」

「……ごめんなさい」


イライラしてる灰色に小さく謝る。


仕方ないじゃない。リンチを受けたんだから。痛くて仕方ないんだもの。


……なんて龍神の人達には言うつもりなんて絶対ないけれど。


誰の所為でもない。龍神の人達の所為にも、兄の所為にする気もない。



「なぁ、」



いつの間にかあたしの隣まで戻ってきていた灰色。



「お前なんか消えそう」



それはいつもみたいに馬鹿にしてる声でも貶してる声でもなくて。


酷く真剣なものだった。


消えそう、か。



「消えれるものなら、消えたいです」



灰色の真剣な声に思わずポツリと本音が零れ落ちる。