「お前、」

「はい?」


そっと深呼吸をしていれば、灰色の硬い声が聞こえてきて首を傾げる。



「軽過ぎ。綿でも詰まってんのかその身体」



そう言われて何故か呆れた目を向けられる。軽過ぎなんて言われても、身長は160もあるのだしそれなりに重い筈だ。綿と言われるほど軽いはずもない。



「いや軽い」



再度そう言って眉間にシワを寄せた灰色は行くぞ、と言って歩き出してしまう。


あたしも慌てて後を追う。1人分程の距離を空けて灰色の隣を歩く。


そっと、隣の灰色を盗み見れば170cm後半はありそうな高い身長。これだけ背が高ければ、あたしの事を軽く感じるんだろうか?


それなら、あれだけ軽いと連呼するはずだ。



「おいブス。トロい」


いつの間にか灰色は先に居て、振り返ってあたしを見ていつもの暴言。あたしは文句を言うわけでもなく、大人しく灰色に急ぎ足で近付く。


流石に駆け寄れるほど、今は身体が元気ではない。