揺れる高級車の中。
車内は居心地の悪さと煙草の煙が充満して、それはもう最悪で。
いつも通りの時間に迎えに来られて、いつも通りの時間に学校に着いて。
「おい、ブス。さっさと降りろ」
いつも通り灰色の髪の男に促されて車から降りる。
最初こそムカついて抵抗してたものの、今ではもう無視する事を覚えた。
「まだ一緒に居るの?あのブス!」
「なんであんなブスが……!」
「ウザ過ぎんだけど!」
車から降りた途端あたしを突き刺す視線と言葉の数々。
何とも思わない心に笑いが込み上げる。
「相変わらずな言われようだな?ブス」
「……そうですね」
ニヤニヤとあたしを見下ろす灰色に視線も向けずに答える。
「おい」
すると後ろから聞こえてきた声に、ゆっくりと振り向く。
「止まるな、邪魔だ」
絶対的オーラを醸し出すこの銀色。
「タカは朝の機嫌の悪さどーにかしろよ」
やれやれ、なんて溜め息を吐き出す灰色に"タカ"と呼ばれた銀色が舌打ちを返す。