それを手に取って初めて見たとき本当にこういう事はあるのかと考えた。
真っ黒な封筒に真っ黒な便箋。それに綴られる文字は赤。
内容はまぁ…ありきたりでブスとか、死ねだとか、後はうざいとか。
いつも投げ掛けられる言葉が文字になったという感じだった。
机の中に入っていたそれを一通り目を通してから、鞄の中へと放り込む。
そして、何事も無かったように授業の準備をして授業を過ごす。
授業中に感じる、憎悪や嫌悪といった負の感情の視線。
「ねぇ、ちょっといい?」
1限が終わってからパンダみたいな目元の女の子に声を掛けられる。
その子の後ろにはやっぱりパンダみたいな5人程の女の子達。
声を掛けてきた子も後ろにいる子達からも感じる、授業中に感じた視線と同じもの。
手紙も視線もこの子達かと納得した。
「着いて来て」
何も返事しないあたしに、痺れを切らしたパンダの女の子があたしの腕を引っ張る。
リーダーパンダに子分パンダ1、2……。
あたしの腕を引っ張るのはリーダーパンダ。
ギリギリと腕に込められる力に、表情が歪む。
痛い。
それに、腕を掴まれるのは酷く苦手だ。