「……今日帰ったら、纏めた荷物の一部を持っていけばいいし、必要なものはある程度いれたから大丈夫……なはず」

学校に着いて、下駄箱の前で一人ぶつぶつと独り言。

「よっ」

「あ、おはよう」

後ろから小鳥遊くんが来て、一緒に教室へ向かう。


「あれからシェアハウス行きは決まったのかよ」


「うん、今日から。少しの間、アパートとシェアハウス通いするの。片付けないとだから」


「やっぱそうしたのか。……片付けって、お前一人でできんの?」


「それは村……おじいさんが手配してくれてるから、大きな家具とか撤去してくれるって。だからわたしは細々したものを片付けるだけなの」


「トントン拍子だな」


「奇跡的に……」


教室に着いて、苦笑いするわたしに小鳥遊くんは
そっぽを向いた。


「……まぁ、あれだ」


「ん?」


「な、何かあれば言えよ……手伝ってやらなくもないし」


「ありが……行っちゃった」


ありがとう、と言い終える前に小鳥遊くんはそそくさと教室へ入っていった。


――あれは照れてるのかな。


言い方はぶきっちょだけど、優しいのは伝わってくる。


「……がんばろっ」