「お姉さん、今日は本当にありがとうございました」
「こちらこそ。岳に素敵なプレゼントをありがとう」

夕方になり、真美は潤と一緒においとますることにした。

玄関で都に挨拶してから、真美はしゃがんで岳と目を合わせる。

「がっくん、今日はとっても楽しかった。ありがとう」
「おれもたのしかった。まみ、カメラありがとう」
「うん。たくさん撮って、今度会う時にまた見せてね」
「わかった。こんどはいつあえる?」
「いつでも会えるよ。きっとすぐにまた会えるからね」
「うん。やくそくな」

二人で小指を絡めて指切りした。

「じゃあね、真美ちゃん、潤。またいつでも来て」
「はい、ありがとうございます」

バイバイと岳に手を振って、二人は玄関を出る。

エントランスに下り、近くのコインパーキングに停めてあった車に乗り込むと、改めて潤が真美に切り出した。

「今日はありがとうな、望月」
「いいえ、こちらこそ。とっても楽しかったです。お姉さんにも、よろしくお伝えください」
「ありがとう。それで、さ。もしよかったら、なんだけど……」
「はい、なんですか?」

うん、その……と言い淀みつつ、潤は真美をチラリと見る。

「明日も、会えないかな?二人だけで」
「え?」
「長い間お世話になったお礼がしたくて。食事をごちそうさせて欲しい」
「そんな。どうぞお気遣いなく」
「……やっぱりだめか」
「いえ!そんなことは」
「じゃあ、いい?」
「えっと、はい。よろしくお願いします」

良かった、と潤はホッとしたように肩の力を抜く。

「じゃあ明日、10時にマンションまで迎えに行くよ」
「分かりました」

潤はエンジンをかけて車を走らせ、真美をマンションまで送り届けた。

「じゃあ、また明日」
「はい。今日はありがとうございました、課長。おやすみなさい」
「おやすみ」

潤の車が見えなくなるまで見送ると、真美はエントランスを入り、明日何を来ていこうかと考えながら部屋に向かった。