「岳、忘れ物はない?」
「うん!だいじょうぶ」
「よし。じゃあ、おうちに帰ろうか」
「うん!」

食事を終えると、岳と真美はそれぞれ荷物をまとめた。

都のスーツケースと合わせるとかなりの量になり、それを全部潤の車のトランクに詰める。

「じゃあ、最初に姉貴のうちに寄ってから、望月のマンションまで送って行くから」
「はい、ありがとうございます」

後部座席のチャイルドシートに岳、その横に都、そして助手席に真美を乗せて潤は車を走らせた。

「まみ、またあえる?」

都と手を繋いでマンションのエントランスで真美と向き合い、岳は寂しそうに尋ねる。

真美はしゃがんで岳と視線を合わせた。

「うん、いつでも会えるよ。だって私、がっくんが大好きだもん。それにおうちも近いしね。がっくん、また私と遊んでくれる?」
「うん!いつでもあいにこいよ」
「ふふ、ありがとう!楽しみにしてるね」

立ち上がると、都が改めて頭を下げる。

「まみちゃん、それに潤も。長い間本当にありがとう。全部二人のおかげよ。お礼がしたいから、また改めて連絡するわね」
「いえ、そんな。どうぞお気遣いなく。でもまた時々、がっくんに会わせていただけたら嬉しいです」
「もちろんよ。こちらこそ、末永くよろしくね、まみちゃん」

意味ありげに言ってから、都は岳の手を引いてエントランスに入って行った。