給食の時間になり、園児達と一緒に真美も美味しい給食を可愛い椅子に座ってごちそうになる。

片づけをして歯磨きをすると、パジャマに着替えてお昼寝タイムになった。

子ども達が全員眠ると、明かりを落とした部屋で、真美はおもちゃの片づけや消毒作業を手伝った。

「望月さん、すみません。助かります」
「いいえ、これくらいさせてください」

連絡ノートを書きながら、ももこ先生が話しかけてくる。

「望月さんがいてくださって、がっくん、本当に嬉しいんだと思います。お母さんと3か月間離れることになった時、最初はすごく落ち込んでました。口には出さなくても、表情が暗くて。叔父さんも一生懸命がっくんの様子を気にしてくださってましたけど、がっくんはそれに気づいて敢えて平気なフリをして。気持ちを溜め込んでいるのが分かって、どうにかして吐き出させてあげたかったんです。寂しいって泣いてくれたらいいのに、がっくんは我慢する子だから。そんな時、あの地震が起こりました。他の園児達は、パパやママが次々と迎えに来て、じゃあね!がっくんって手を振って帰って行きました。がっくんは無理やり笑顔を作って、またね!って見送って。どんなにママに会いたくて心細かったか……」

思わず涙ぐむももこ先生に、真美も目を潤ませた。

「最後に残されたのが自分一人になっても、がっくんはギュッと唇を結んで我慢してました。余震で揺れても、悲鳴も上げずにじっと身を固くして。まだ4歳なのに……。そしたら望月さんが迎えに来てくださったんです。あの時のがっくんの様子は、私ずっと忘れられません。初めて自分を全部さらけ出して、気持ちをぶつけて大声で泣けたんです。良かったなって、私、心の底から思いました。すごいですね、望月さん。母親でも、保育士でもないのに、どうやってがっくんに接すればあんなにも深い信頼関係を築けるんですか?」

聞かれて真美は首を振る。

「私が何かしたとかじゃありません。がっくんの方こそ、いつも私を幸せな気持ちにさせてくれるんです。私、大人同士の人づき合いが苦手で、ずっとコンプレックスを抱えていました。だけどがっくんは、そんな私に純粋でキラキラした目を向けてくれます。何も身構えずに、透き通るような真っさらな心で私に接してくれます。真っ直ぐに『大好き』って気持ちを伝えてくれます。それがどんなに嬉しかったか。長い間悩んでいた私を、がっくんが救ってくれたんです。私、がっくんに出会えて本当に良かった」

しみじみそう言うと、ももこ先生がふっと笑った。

「望月さん、がっくんと相思相愛ですね。叔父さん、ヤキモチ焼いちゃうかも?さっきのプロポーズも、ものすごくラブラブでしたもん」
「私も、がっくんのプロポーズ、とっても嬉しかったです」
「えー、叔父さん大変!こんなところにまさかの強力ライバルが!どうなっちゃうんですか?この三角関係」
「ふふ、がっくんの勝ちかも」
「やだ!望月さん。冗談に聞こえないです。叔父さんー、がんばってー」

両手を組んで宙を見上げるももこ先生に、真美はもう一度ふふっと笑った。