(保育園、真っ暗。もう9時半だもんね。今頃がっくん、寝てるかな?)

静まり返った保育園の前を通りながら、ふと岳のことを思い出して頬を緩める。

毎日定時で上がる潤に、
「課長、最近どうしたのかな?ひょっとして彼女出来たのかも?」
と、同じ課のメンバーが話し出し、
「あ、ほら。取引先との打ち合わせから直帰じゃないかな?」
と取り繕った真美の言葉は、
「こんなに毎日?」
とあっさり否定されてしまった。

「定時で上がるのが普通!ほら、みんなもさっさと帰りな」
と紗絵がその場をまとめてくれ、ホッと胸をなで下ろした真美は、少しでも潤の負担を減らそうと、出来る範囲で仕事を進めておくことにした。

(でもたまには定時で上がって、がっくんが保育園から出て来るところに会いたいな)

うん、時々そうしよう!と心に決め、真美はふふっと微笑んだ。