「岳。俺が……真美と結婚しても、いい?」

ためらいながら尋ねると、岳は少し黙って考えた。

「おれ、まみがじゅんに、にこってしてるかおがすき。だからじゅん、まみをいつもニコニコにしてあげて」
「ああ、分かった」
「まみがケガしないように、いつもまもってあげて」
「うん、分かった」
「まみがさみしくないように、ずっとそばにいてあげて」
「うん、分かった」
「まみをずっとずっと、しあわせにしてあげてね」
「ああ、分かった。約束する。必ず真美は俺が守る。いつも笑顔でいられるように、おれが真美を幸せにしてみせる。岳に誓うよ」

岳は頷くと、右手の小指を差し出した。

「おとこのやくそく、な」
「ああ、男の約束だ」

潤はしっかりと岳と小指を絡めた。

「まみ」

岳は真美に向き直る。
真美は目を潤ませ、必死に涙を堪えていた。

「これからも、おれといっしょにあそんでくれる?」
「うん、うんっ、もちろんだよ。私もがっくんと遊びたい」
「じゃあこれからも、おいしいものたくさんつくってくれる?」
「うん!これからも、がっくんの好きなものたくさん作るよ」
「よかった!じゃあ、はやくあかちゃんつくって、おれにあわせてね」
「分かった。早く赤ちゃん作るからね。そしたらがっくん、遊んであげてね」

岳と真美は互いの手を握りながら、真剣に頷き合う。
感動的なシーンだが、都も樹も、そして潤も、顔を真っ赤にしていた。

「じゃあ、まみ。おてがみかこうよ。あかちゃんつくりたいですって」
「そうだね、書こう。こうのとりさんにお願いしなくちゃね」

そう言って二人で画用紙を広げた。

「まみ、あかちゃんなんにんほしい?」
「えー、たくさん欲しいなあ」
「おとこのこ?おんなのこ?」
「どっちでもいいよ」
「おれはおとこのこがいいな。いっしょにラジコンしたい」
「そっか、楽しそうだね!」

ふふっと笑ってから、二人はクレヨンを握る。

岳が潤と真美、そして赤ちゃんの絵を描き、真美が文字を書く。

『こうのとりさんへ
がっくんみたいな、やさしくてかわいいあかちゃんがほしいです
はやくがっくんといっしょに、あそんでほしいです
よろしくおねがいします
  じゅん、まみ、がく より  』

出来た!と二人で満足気に画用紙を眺め、真美と岳はまた微笑み合った。