デザートに「Happy Birthday!」と美しくデコレーションされたケーキがサーブされ、おめでとうございますとスタッフ達にも祝福される。

「ありがとうございます。こんなに素敵な誕生日は初めて」

真美の幸せそうな笑顔に、潤も思わず微笑み返す。

するとスタッフが、スッと潤の手元にカードサイズの封筒を滑らせ、目礼してから去っていった。

なんだろう?と中を見てみると、どうやら部屋のカードキーのようだった。

おそらくチェックインを済ませてくれたのだろう。

(気が利くな。さすがは三原グループのホテルマンだ。ん?)

書かれていた部屋番号、3501に、潤は首をひねる。

(35階?それって…)

「潤さん?どうかしましたか?」

真美に尋ねられ、何でもないよ、と潤はカードキーをジャケットの内ポケットにしまった。