デスクに戻った潤は、そっと顔を上げて真美の様子をうかがう。

背筋を伸ばしてパソコンに向かっている横顔は美しく、胸元と左手首に輝くジュエリーが華やかに彩って見えた。

(真美が平木に告白されたら……)

どうってことはない。
真美は真っ直ぐに自分だけを見つめてくれている。

(俺は真美を信じる)

潤はそう固く心に決める。

だが、心がざわつくのはどうしても止められなかった。

今日は真美と一緒に退社しようと思っていたが、思わぬ電話が入り仕事が切り上げられない。

定時を30分ほど過ぎた頃に真美が立ち上がり、隣の席の若菜と一緒に「お先に失礼します」と挨拶してオフィスを出て行った。