「ひゃー、真美さん!その美しいアクセサリーは、一体どなたから?」

次の日会社に行くと、目ざとく見つけた若菜に問い詰められた。

「あら、ほんと!素敵なネックレスね」
「紗絵さん、ブレスレットもですよ!お揃い!しかもその輝き、ダイヤモンドですよね?真美さん」

若菜の勢いに押され気味に、真美は頷く。

「やっぱり!もしかして彼氏からの誕生日プレゼントですか?」
「ううん。私の憧れの女性からいただいたの」

すると紗絵が、へえーと声を上げた。

「真美の憧れの女性か。どんな人なの?」
「えっと、美しくて聡明で、生き方もかっこ良くて、強くて温かくて、優しいけどたくましくて」
「ストップ!もういいから。ほら、若菜が勘違い始めてる」

え?と真美は若菜を振り返る。

ドン引きしている様子の若菜にキョトンとしていると、紗絵が苦笑いした。

「真美さんって、彼氏じゃなくて彼女がいたんだー!だって」

ええ?!と真美が驚くが、若菜はうんうんと肯定している。

そういう訳では……と言おうとしたが、じゃあやっぱり彼氏から?と話の矛先が変わりそうで、真美はやめておいた。

笑ってやり過ごしていると、若菜はますます目を見開く。

「そ、そうだったんですね。どうりで真美さん、合コン誘っても来ない訳だ。なるほど、そうでしたか……」

若菜はストンと椅子に腰を下ろし、しばしポケーッとしている。

「ありゃりゃ。妄想が始まっちゃった。ま、いいか。真美、仕事しましょ」

心の中でごめんねと若菜に謝りつつ、真美は紗絵に「はい」と返事をしてパソコンを立ち上げた。