パタンとドアが閉まると、真美はそのまま壁に背中を押しつけられ、潤に熱く唇を奪われる。

「ん……、潤さ……」

いきなりのことに驚いて真美が潤の胸を押し返そうとすると、潤はその手に自分の指を絡めて、壁に押し当てた。

角度を変えて何度も深く真美に口づけると、切なげに吐息をつく。

「真美。ずっと目の前にいるのに、抱きしめたいのに、真美を遠くに感じて辛かった」
「え?」

潤の呟きに、真美はおずおずと視線を上げた。

「岳に向ける笑顔が可愛くて、俺にも笑いかけて欲しくてたまらなかった。子ども相手に嫉妬するなんて、余裕がなくて情けない。だけどもう我慢の限界。真美、抱いてもいい?」

真美は思わず息を呑む。
大人の色気をまとい、何かを堪えるように切羽詰った、初めて見る潤の顔。
その表情にドキドキと胸が高鳴り、漆黒の瞳に射抜かれて、真美は目を逸らせなくなる。

「真美を俺のものにしたい。今まで大切に守ってきたけど、真美をこの手で奪いたい。俺の想いを全部ぶつけて」

そしてまた深いキスをすると、潤はそのまま真美をベッドに押し倒した。

「真美……、愛してる。真美の全てを俺にくれる?」

真上から見下ろされ、切ない声で囁かれて、真美は小さく頷いた。

「真美……、好きだ。どうしようもないくらい、俺は真美を……」

潤は浮かされたように呟き、奪うように何度も真美に口づける。

真美の口からも甘い吐息がもれ始めた。

「真美……」
「ん、潤さん……」

何度も交わすキスなら知っている。
だが、そこから先は……

潤の唇が首筋に沿って下りていき、真美は思わず仰け反って背中を浮かせた。

その下にすかさず潤は左手を差し入れ、グッと抱き寄せると、右手で素早く真美のシャツのボタンを外していく。

胸元に押し当てられる唇、背中に直に触れられる温かい手。

何に集中していいのか分からず、真美は必死で潤の首に腕を回してしがみつく。

やがて真美は、素肌にひんやりとした空気を感じてハッとした。

気がつけば何も身に着けていない。

寒さと心細さに、思わず自分を抱きしめる。

すると乱暴に自分のシャツを脱ぎ捨てた潤が、真美に覆いかぶさってきた。

潤の温かく大きな胸の温もりを直接肌で感じて、真美はホッと身体から力を抜く。

トクトクと早鐘のような潤の胸の音まで伝わってきて、思わず視線を上げた。

「潤さんの胸、ドキドキしてる」

瞬は驚いたように目を見開くと、またしても熱いキスを真美に浴びせる。

「当たり前だ。やっとこの手に真美を抱いて、平常心でいられる訳がない。なめらかな肌も、色っぽいウエストのラインも、柔らかい胸も……。真っ白で綺麗な身体の隅々まで、俺は真美の全てに溺れる」

それが始まりの合図のように。
潤は真美の身体のあちこちに触れながらキスをする。

全身でそれを受け止めていた真美の口から甘い声がこぼれ、時折ピクンと身体が跳ねた。

「んんっ!」

潤の愛撫に素直に反応して身をよじる真美に、潤はますますのめり込む。

真美は少しずつ潤に身を委ね、徐々に身体を開いていった。

二人を隔てるものは何もない。
心も身体も愛によって混じり合い、溶け合っていく。

自分の全てを愛する人に捧げた真美を、潤は強く胸に抱きしめた。

「真美、愛してる。ずっと大切にするから」
「潤さん……、ありがとう」

真美の瞳から溢れる涙を、潤はそっとキスで拭った。