食事の後片付けを手伝ってから2階に上がった真美は、ガチャッと部屋から出て来た岳に手招きされる。

「まみ、こっちこっち!」
「がっくん。お風呂もう入ったの?」
「うん!だからパジャマパーティーしよ」
「そうだね。あ、じゃあ、飲み物持って来るね」

もう一度厨房に行くと、潤がやって来た。

「真美、俺も運ぶよ」
「ありがとう。えっと、お姉さん達はビールかな?」
「そうだな。おつまみも適当に持って行くか」

ジュースやお菓子、ビールにおつまみを持って部屋に行き、早速パーティーを始める。

岳はテンションも高く、コロとじゃれたりカメラで写真を撮ったりとはしゃいでいたが、そのうちにゴシゴシ目をこすり始めた。

「がっくん、眠い?そう言えば今日、お昼寝しなかったもんね」
「うん……」

真美が抱き寄せると、岳は真美の膝に頭を載せてスーッと眠ってしまった。

「あらら、撃沈。まだ8時なのに」
「ふふっ、よっぽど楽しかったんでしょうね」

都と真美は岳の寝顔を見ながら頬を緩める。

「お姉さん、がっくんベッドに運びましょうか?」
「そうね。樹、運んでくれる?」

えっ!と樹が目を見開いて固まった。

「い、いいの?」
「うん。本人よく寝てるしね。今ならお触り自由よ」

都がおどけるが、樹は真剣なままだ。
ゴクリと生唾を飲み込んでから、ゆっくりと岳のそばまでにじり寄る。
真美は岳を膝から抱き上げ、恐る恐る手を伸ばした樹に託した。

腕に岳を抱いたまま、樹は目に涙を浮かべる。
それは紛れもなく、父親が初めて我が子を抱いた瞬間だった。