「わあ、すごい!てんとうむしだ!」

夕食の時間になり、ダイニングテーブルにおせち料理を並べると、岳は目を丸くして身を乗り出した。

「岳、すごいだろ?真美ちゃんが作ってくれたんだぞ?」
「そうなの?さすがー、おれのまみ!」

ゴホンッ!と潤が大きな咳払いをする。

「ほーら岳。こっちのお子ちゃま椅子にどうぞ」
「やだ。まみのとなりがいい」
「なんだとー?!」

あの、潤さん、と見かねて真美が手で遮った。

「そんなにむきにならないで。ね?」

首を傾げて顔を覗き込まれ、潤は思わずドギマギと視線を落とす。

「やだ!潤ったら顔が真っ赤。なんか私が恥ずかしいわ」

ドン引きする都に、またしても潤は「なにー?!」と憤慨する。

「まあまあ、とにかく食べましょう。改めて、明けましておめでとうございます」

母の乾杯の音頭に、皆で「おめでとうございまーす。かんぱーい」とグラスを合わせた。

「今年は賑やかなお正月で嬉しいわ。来年もこのみんなで集まれるかしら?」
「そうだな、待ってるから。みんな元気にまた集まろう」

両親の言葉に、都も潤も感慨深く頷いていた。