「まみ、コロとしゃしんとろう」
「うん!」

食事のあと、岳は真美の手を引いて広いガーデンに出た。

今日と明日は休館日ということで、他にお客様はいない。

噴水や花が咲き乱れる中を、岳と真美はコロを追いかけて駆け回る。

「都、岳くんの写真をここから撮ってもいいかな?」

樹が離れた場所で岳を見守りながら、控えめに都に尋ねた。

「ああ、いいわよ。なに?こっそり眺めてニヤニヤしたいの?」
「うん。本当は、岳くんと都が並んでる写真が撮りたいんだけどね」

横で聞いていた潤が、それなら、と岳と真美に声をかける。

「おーい、岳、真美。みんなで写真撮ろう」

はーい!と二人はコロを抱いて戻って来た。

「じゃあ、そこの噴水をバックに並んで」

スマートフォンを構えて潤が言うと、気を利かせた真美がそっと遠くに離れる。

コロを胸に抱えた岳を都が抱き上げ、樹がその隣に立つ。

「笑ってー。はい、チーズ」

カシャカシャと何枚も撮ると、潤は画面を樹に見せる。

樹はこれ以上ないほど幸せそうな笑みを浮かべて、画面に見入った。

笑顔の岳と都、その隣に自分がいる。
そう思うと、樹の目に涙が込み上げてきた。

「これ、早速転送しますね」
「ありがとう、潤くん」

そのあとは樹が皆の写真を撮る。

岳もキッズカメラで何枚も真美とコロの写真を撮ってはしゃいでいた。