「わー、なんだか懐かしい!」

ここを出てからそんなに経っていないのに、なぜだか久しぶりに来たような気がして、真美は潤の部屋を見回した。

「真美、コーヒーでいい?」
「あ、私がやります」

並んでキッチンに立っていると、潤のスマートフォンが鳴り始めた。

「誰だろ、こんな遅くに。あれ?姉貴だ」

真美と顔を見合わせてから、潤は電話に出た。

「もしもし、姉貴?どうかした?」

真剣な表情で時折相槌を打つ潤を、真美は心配しながら見守る。

岳に何かあったのでは?と気が気じゃなかった。

「分かった。聞いてみるから、ちょっと待って」

そう言うと潤は真美を振り返る。

「真美、姉貴が俺と真美に相談したいことがあるんだって」
「潤さんと私に?もしかして、がっくんに何か?」
「うん。まあ、岳に何かあった訳ではなくて、その……父親のことだって」

えっ!と真美は息を呑む。

(がっくんの、父親?!それって、がっくんの前にいきなりパパが現れたってこと?)

岳がどんなに心乱されただろうと心配していると、潤が言葉を続けた。

「父親っていっても、まだ岳とは接触していない。姉貴に、会いたいって連絡してきただけだって。それでこの先どうするか、俺と真美の意見も聞いて決めたいから、近いうちに会えないかって」
「そうだったんですね。そういうことなら行きます。いつでも大丈夫です」
「分かった。明日でもいい?」
「はい」

そして二人は翌日、都と岳のマンションに行くことになった。