「未来を見る方法だって」
怪談好きな友達がスマホを見ながら言った。
鏡を二枚、向かい合わせに置いて、自分の顔をそこに映す。
正面に連なる自分の顔を見ていくと、そこに未来の自分が映るという。
「でも合わせ鏡って……何か不吉なんじゃなかったっけ?」
私がおぼろげな記憶を口にすると、友達は「うーん」と首をかしげた。
「それは鏡を正方形に四枚並べて、中にロウソク立てるやつじゃなかった? 鏡に悪魔が映るみたいな」
「うん。前に教えてくれたじゃん。合わせ鏡をすると霊道? っていうのができるんでしょ」
「これは単純に鏡を覗くだけだし大丈夫っしょ。面白そうだからやってみよっかな」
あんたもやってよ、明日感想聞かせて。
私はうきうきと話す友達に溜息を返しつつ、頷いた。
深夜0時前、私は洗面所で合わせ鏡の準備を始める。
入り口の横に置いた収納ケースの上に鏡を置いて、洗面台の大きな鏡と向かい合うよう調整する。
私はその間に入り、洗面台の方を向いて立ってみた。
「うーん……見づらいな」
鏡同士が反射して、自分の姿がいくつも連なって見えるということは分かる。
でもなかなか奥の方まで見える角度を見つけられず、私はその場で膝を曲げたり伸ばしたりと苦戦していた。
「あ、ここかな」
私の顔が二つ三つと並んで見える角度を見つけて、姿勢を固定する。
友達の話では、正面に映る自分の姿のうち、手前から何番目かに未来の自分が映っているらしい。
それが何番目なのかは分からないけど……。
「……別に何もないけどなぁ」
鏡に映る自分が全員、じっと私を見ているのは不思議な気分だ。
でもそのうち、眠くて冴えない自分の顔ばっかり並んでいるのが、段々しんどくなってきた。
未来っぽい自分も見当たらないし、眠いし、もういっか。寝よう。
怪談好きな友達がスマホを見ながら言った。
鏡を二枚、向かい合わせに置いて、自分の顔をそこに映す。
正面に連なる自分の顔を見ていくと、そこに未来の自分が映るという。
「でも合わせ鏡って……何か不吉なんじゃなかったっけ?」
私がおぼろげな記憶を口にすると、友達は「うーん」と首をかしげた。
「それは鏡を正方形に四枚並べて、中にロウソク立てるやつじゃなかった? 鏡に悪魔が映るみたいな」
「うん。前に教えてくれたじゃん。合わせ鏡をすると霊道? っていうのができるんでしょ」
「これは単純に鏡を覗くだけだし大丈夫っしょ。面白そうだからやってみよっかな」
あんたもやってよ、明日感想聞かせて。
私はうきうきと話す友達に溜息を返しつつ、頷いた。
深夜0時前、私は洗面所で合わせ鏡の準備を始める。
入り口の横に置いた収納ケースの上に鏡を置いて、洗面台の大きな鏡と向かい合うよう調整する。
私はその間に入り、洗面台の方を向いて立ってみた。
「うーん……見づらいな」
鏡同士が反射して、自分の姿がいくつも連なって見えるということは分かる。
でもなかなか奥の方まで見える角度を見つけられず、私はその場で膝を曲げたり伸ばしたりと苦戦していた。
「あ、ここかな」
私の顔が二つ三つと並んで見える角度を見つけて、姿勢を固定する。
友達の話では、正面に映る自分の姿のうち、手前から何番目かに未来の自分が映っているらしい。
それが何番目なのかは分からないけど……。
「……別に何もないけどなぁ」
鏡に映る自分が全員、じっと私を見ているのは不思議な気分だ。
でもそのうち、眠くて冴えない自分の顔ばっかり並んでいるのが、段々しんどくなってきた。
未来っぽい自分も見当たらないし、眠いし、もういっか。寝よう。