今日、彼が家に泊まりに来る。
 ああ緊張する!
 大丈夫かな、すっぴん晒しても引かれないかな?
 部屋は頑張って片付けたけど、クローゼット開けられたら詰む!
 いやいや、でも今さら何したって変わらないんだし、無意味に歩き回るの止めなきゃ。深呼吸、深呼吸。
 あ、来た! わー!

「いらっしゃい!」
「お邪魔しまーす」

 きゃー! 今日もカッコイイ!
 ついうっとり見惚れてしまうと、彼が不思議そうにしながらも笑った。

「なに?」
「え? あ……あの、ええと」
「どうしたの? 何か今日大人しいね」
「き、緊張しちゃって……」

 髪を耳にかけたり俯いたり。モジモジしていたら、彼がちゅっとキスをしてくれた。

「可愛い」

 真っ赤になった私を抱きしめて、彼が囁く。
 そのままたくさんキスをして、綺麗に整えたベッドになだれ込んだ。

「……ごめん、来たばっかなのに。舞が可愛すぎて……いい?」
「嬉しい。いいよ……」

 服に手を掛けたとき、クローゼットから何かが落ちる音がした。ま、まずい、無理に詰めすぎたかも。
 私があわあわしていると、彼はくすりと笑ってキスを深めた。

「ほら、集中して」
「うん」

 ああ素敵、なんて幸せなんだろう。
 彼と心ゆくまで睦み合って、一緒にお風呂に入って、夕食を食べて……当初の不安とは裏腹に、その日は最高のお泊まりデートになった。
 翌朝、お別れのキスで彼を見送った。

「あー、幸せ! 超よかった!」

 ホクホクしたまま部屋に戻って、私はクローゼットを開けた。

「舞ちゃん、また来るね!」