エリスの両親との話が終わり、エリスとディルは二人きりになった。いつになくそわそわしているエリスを見て、ディルは思わず笑みがこぼれる。

「そんなにこの姿の俺は似合いませんか?」
「っ、そうじゃなくて、むしろ似合ってるというか、いつも以上に素敵だから……」

(うっわ、そんなこと言うの反則だろ)

 エリスの言葉にディルの心は浮足立つ。

「エリス様こそ、いつも以上に素敵ですよ。本当に似合ってる」

 微笑みながら言うと、エリスは顔を真っ赤にしてうつむいた。

(今日のドレスはずいぶんと胸元が開きすぎてないか?誰だよ、このドレスを選んだのは。この姿を俺以外の男が見ることにならなくてよかった。……今までだって婚約の話が持ちあがって顔合わせのたびに相手の男の目をつぶしてやりたいくらいだったけど)