「たっだいまー!」

そう言ってケイシさんが入って行った家は、町外れにある丸い形に三角屋根の可愛らしい家だった。

「おかえり!って、あれ?」

ケイシさんの後ろに隠れるように覗き込むわたしに気付いた女性。

ケイシさんは「あ、こっちに来たばかりで黒魔に襲われかけてたから、連れて来たんだ!灯ちゃんっていうんだ!」と、わたしを紹介してくれた。

エプロン姿に料理をしていたのであろうその女性は、こっちに近付いて来ると「怖い思いしたんだね。ここに居れば大丈夫だよ?わたしはアリス。宜しくね。」そう言うと、アリスさんは優しく微笑みかけてくれ、それから「さぁ、入って入って!」と家の中に促してくれた。

アリスさんは長い黒髪に可愛さのある美人さんだった。

すると、家の中にはもう一人男性がいた。

金髪にツンツン頭の男性は、ハンモックに揺られながら、寝ているのか目を閉じていた。

「リュウサ〜、そろそろご飯だよ。」

アリスさんがハンモックに寝ている男性に声を掛けると、男性はパッと目を開き、怠そうにハンモックから降りた。

そして、わたしの方を見ると片眉を上げ、「誰だ?」とでも言いたそうな表情を浮かべていた。
わたしはその男性に少し怖い印象を持ってしまった。