ケイシさんは巨大黒魔に近付くと、自分の剣を巨大黒魔に向かって投げつけた。
すると、その剣は見事に巨大黒魔の赤い目に刺さり、断末魔を上げながら暴れ出したのだ。

わたしがこのあとどうするんだろう、、、
と不安に思いながら見ていると、アリスさんとリュウサさんがわたしのところに戻ってきた。

「アリスさん!リュウサさん!ケイシさんは?!」

わたしの言葉に俯き、悔しそうな二人。

わたしが「司令って何だったんですか?!」と訊くと、アリスさんが一粒の涙を溢し、わたしに背を向けると慌てて涙を拭っていた。

「あいつは、黒魔の引き付け役になった。」

そう教えてくれたのは、リュウサさんだった。

「引き付け役、、、?」
「あのデカい黒魔を町から遠ざけて、本部近くまで行ったら大砲で撃って再生出来ない程バラバラにするらしい。」
「え、大砲?ケイシさんは、大丈夫なんですか?!」
「分からない、、、無事にあいつが避けれればいいが、、、」

リュウサさんに説明されても、すぐに理解できない自分がいた。

あの巨大黒魔をケイシさんが引き付けて、大砲でバラバラにする?
その大砲にもしかしたら、ケイシさんが巻き込まれるかもしれないってこと?

気付けばわたしは涙流していて、遠ざかって行く巨大黒魔を引き付けるケイシさんを追いかけようとしていた。

「ケイシさーん!!!」
「ダメよ、灯ちゃん!」
「でも、ケイシさんがぁ、、、!!!」

アリスさんに止められながら、わたしは泣き崩れた。

"必ず戻ってくるから!約束!"

その最後の言葉と切なそうなケイシさんの表情が頭から離れなかった。