すると、ケイシさんが指笛を鳴らした。
しばらくすると、窓際に黄色いヒヨコのような鳥がやってきたのだ。
ケイシさんが窓を開けると、その黄色い鳥は飛び立ち、ケイシさんの肩に乗っかった。
「可愛い。」
わたしがそう言うと、アリスさんが「ケイシが飼ってるムーンバードよ。」と教えてくれた。
よく見ると、頭の部分がツンツンしていて、リュウサさんに似ているような気がした。
「こいつを置いて行くから、何かあったら俺のとこに飛ばしてくれ。」
ケイシさんはそう言うと、剣を片手に握った。
「俺も行く。」
リュウサさんがそう言ったのだが、ケイシさんは「いや、お前はここに残ってくれ。お前は、守るものがあるだろ?」と言って笑った。
"お前は守るものがあるだろ?"
その言葉にわたしは、すぐにそれはアリスさんのことだと気付いた。
「アリス、お前は灯ちゃんを頼む。」
「分かった。何かあったら、すぐに連絡して?駆け付けるから。」
ケイシさんはアリスさんの言葉に頷くと、わたしの方へ歩いて来て、そっと片手でわたしを抱き締めたあと、頭にキスをした。
「ケイシさん、、、。」
「大丈夫、必ず帰って来るから。」
そして「帰って来たら、キスする場所頭じゃないからね!」そう笑って言い残し、ケイシさんは行ってしまったのだった。