それから、ケイシさんとわたしは、アリスさんとリュウサさんが巡回の日に月光花が咲く花畑に行くことが増えた。
月光花を眺めながら、わたしたちは並んで座る。
何度見ても「綺麗」という言葉が漏れてしまうくらい、月光花は綺麗だった。
「灯ちゃんがこの場所を気に入ってくれて良かった。」
「こんなに綺麗な花を見て、気に入らない人いませんよ。今まで何人の女子を連れて来たんですか?」
わたしはケイシさんを茶化すつもりで冗談っぽくそう言った。
すると、ケイシさんは真面目な顔で、でも優しい表情で「灯ちゃんが初めてだよ。」と答えた。
「えっ、、、」
冗談で言った自分が恥ずかしくなり、顔が熱くなっていくのを感じた。
ケイシさんはふとこちらを見ると、「渡したいものがあるんだ。」と言い、ポケットから何かを取り出した。
「わぁ、、、!」
それは、月光花で編まれたブレスレットだった。
わたしは驚きのあまり、ブレスレットを見つめることしか出来なかった。
「不器用な俺が編んだんだよ?貰ってくれる?」
そう言って、わたしの顔を覗き込むケイシさん。
「はい、ありがとうございます!」
「手出して?」
ケイシさんがそう言うので、わたしは左手を出した。
ケイシさんは、わたしの左手首に月光花のブレスレットを付けてくれた。