窓際の一番後ろの席に座るわたし、宮下灯。
わたしは今日も一人、ぼんやりと窓の外を眺めていた。

雲のない綺麗な青空。
しかし、わたしは普通なら"綺麗"だと感じる青空さえ、見ても何も感じなくなっていた。

わたしに友達は居ない。
声を掛けてくるのは、わたしを馬鹿にしてくる奴らばかりだ。

「お前の母ちゃん、風俗で働いてるんだって?!」
「えー!キモーイ!」
「あんたも風俗で働くの?もしかして、既に援交してたりして〜!」

そんな言葉を浴びせられながら、毎日を過ごしていた。

確かに母は若い頃、風俗嬢をしていたらしい。
自分の母親をこう言うのも何だが、美人でスタイルも良い為、人気ナンバー1だったようだ。

そんな母も風俗嬢を引退し、40を過ぎてからは、色んな男に貢いで貰い、生計を立てていた。
貢いでくれる男は、数え切れないくらい居るらしい。

毎日家に連れて来る男は違う。
その度に、奥の寝室から聞きたくもない母の喘ぎ声が聞こえてきて、わたしは自宅に寄り付かなくなった。

わたしの居場所はない。
いつもわたしは学校が終わると、帰り道の途中にある小さな公園のブランコに乗り、一人揺られながら夜空を見上げるのが日課になっていたのだ。