その人が学校に来ると学校が騒がしくなる。女の子の黄色い声や男の子の尊敬や嫉妬の交じった声、教師の媚びた声。その人が教室に来るとその人の机が人でいっぱいになる。何がそんなに聞いて欲しいのか分からないけど、その人の周りでは絶えず話が盛り上がってる。
「また今日も大変そうだよね。遥くん」
遠藤遥。学校一のイケメンで、大企業の御曹司。勉強もできて、運動もできるというアニメもびっくりな夢みたいな人。実は遥と私は………。
「まぁ、いつもの事だし、遥も慣れたんじゃない?」
「さすが慣れてるね。小学校から一緒の人は。え、もしかして小学校からあんなんなの?」
「まぁ。さすがに高学年からだった気がするけど。小学生って顔させ良ければみたいなとこあるじゃん?だから、ちょっと顔がいい子はみんな騒がれてたし、こんなにじゃなかった気がする。」
「ちょっと顔がいいって………。てか、顔が良くて騒がれるのはどの学年も同じでしょ。」
確かに。みんなよく騒ぐな〜としか思ってなかったから、考えなかった。
「全く燈はそういうことに無関心すぎるよ。いくら興味無いからって、そこまで貫けるのは凄いね。」
「そういう理恵ちゃんは、ミーハーなとこあるよね。」
「いいんですよ〜。それで人生楽しいんだから。」
そう言って理恵ちゃんは机に伏せた。綾小路理恵ちゃん私の中学からの親友だ。ぱっちり二重で可愛い顔してるのに、普段はメガネにお団子と隠してしまってる。まぁ、美人が溢れ出してで隠れてないんだけどね。男の人にモテすぎて疲れちゃったんだって。それは、まぁ、大層な理由だな〜と初めて聞いた時は思ったな。私とは無縁だなとも。
キーンコーンカーンコーンコーンカーンキーンコーン
始業のチャイムがなった。チャイムがなったら眠くなるこの現象ってなんだろう………。
「ふゎぁぁぁぁ…………。眠た」
「鳴ったんだから、起きろ〜。燈さーん?」
「ぅぅぅ………。理恵ちゃんうるさい………。」
しょうがない。授業は受けなきゃだもんね、起きますか。