「ルミちゃんに笑われた」
「そーいやさ、今日遅刻してきたじゃん、トリのバンドのボーカル」


 兄が急に話題を変えたから、エイゴさんはちぇっと口を尖らせた。


「そーだったな、それで俺らがリハ順一番になって、今暇を持て余してるんだけど」


 ハルキさんは笑ったけれど、兄は続けた。


「そいつ、こだわりがすごいらしいんだ。本来リハ遅刻したらリハ無しだろ? でもヤツのバンドだけ、特別扱い」