「そうだ、明日のライブ、ルミちゃんも来たら?」
「私は、そういうのは、ちょっと……」


そう言いかけた私の肩を、エイゴさんは叩いた。


「決めつけちゃいけないよ。『音楽』って字は、『音を楽しむ』って書くんだから。ちっこいこと気にしすぎてたら、楽しくねぇだろ?」


 はっとした。そんな私の顔を見て、エイゴさんは続けた。


「そんな難しく考えんなって。兄ちゃんのライブだっていえば、親御さんも許してくれんだろ」


エイゴさんは笑ったけれど、私の顔は難しくなるばかりだった。


(私は音楽を楽しんで、ない?)