「タスクの歌が、声が、好き。だから、昨日一緒に歌えて、嬉しかった」


 ほんのひとフレーズにも満たないメロディが、頭の中を駆け巡る。


「俺も」


 その声は、とても小さかったけれど、あの時に聞いた少しハスキーな彼の声。


「うん……」


 なんて答えていいか分からなくて、私は曖昧に頷くことしかできない。するとタスクは、屋上の入り口に棒立ちになっている私のすぐ傍までやってきた。


「キス、してもいい?」


 急に耳元で囁かれたその声に、私の心臓は破裂しそうなくらい高鳴った。


「な、なんで急に……」


 熱くなった私の耳元で、彼の小さな笑い声が聞こえる。