ふたりで入るには小さい折り畳み傘。私の肩が、雨に濡れる。タスクの反対の肩も、多分濡れてる。


 こんなに近くにいるのに、彼はやっぱり喋らない。傘にぶつかる雨音だけがやたら大きく聞こえる。


『なんだかビートみてぇだな、暴れたくなる』


 エイゴさんが脳内でそう言ったから、私は小さな声で鼻唄を歌った。


「♪~」


 雨音に乗せて適当に奏でるメロディ。それは、私だけの音楽。


 それなのに。