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 あっと言う間に土曜日になった。私は日の暮れた桜木町を、ライトさんと二人で歩いていた。


「いやあラッキー。彼と一回話したかったんだよね。この間はタイミング無かったからさ」


 ライトさんはそう言った。


「ありがとね、俺を誘ってくれて」


 ライトさんを誘ったのは兄だ。私は誰か行きたい人がいないか、兄に聞いただけ。


「いいんですよ、どうせ誘う人いないし。ライトさんのお役に立ててよかったです」


 私が可愛げもなくそう答えたから、ライトさんは苦笑した。