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 そんなことを思い出していると、タスクは読んでいた本を閉じて机に置いた。私はまた自分がタスクを目で追っていたことに気付いて、慌ててぶんぶんと頭を振った。


「でもさ、アイツなんか裏ありそうだよね」
「へっ?」


 ミサキにそういわれて、冷や汗が背中を伝った。


「実は部屋に水着の女の子のフィギュア集めてます、とか」


 安堵したら、私は大袈裟に笑っていた。


「それ、裏でもなんでもないよ」
「ははっ、そうだね」


 ミサキも笑った。その瞬間、彼女の肘が当たって、机の上のシャーペンが彼の方へ転がった。タスクはそれをちらっと見ると、こちらを振り向く。