「知り合いか、色恋か?」


 地上に戻ると、待っていた兄にそう聞かれて戸惑った。


「お兄さんは可愛い妹が心配だって」
「おい、お前!」


 ハルキさんのはやし立てる声に頬を染める兄が気にならないくらい、私は戸惑っていた。


「知り合い、だったようです」
「何、その曖昧なの」


 ぽつりと呟いたら、ライトさんにツッコまれた。


「だって、知らなかったんだもん……」


 知らなかった。

 根暗で陰キャで空気みたいなアイツの声に、こんなに心を掻き乱されるだなんて。