二人はパトカーが左に寄れば、左の進路を拓真がふさぎ、右に出ようとすれば、リン君が右の進路をふさいで、パトカーを一度も前に出さず、大通りから小道へ逃げ込んだ。
「ったく…あのアホめ」
一車線の小さい道路までパトカーを連れてきた二人は、最後の仕上げに、車が進入出来ない道へ入り、パトカーを完全に巻くと、地元へ続く狭い旧道を通り、拓真の家の近くまで帰ってきた。
「優介たち、今からここに来るってよ」
バイクを隠した後、拓真の家の近くのコンビニへ行くと、駐車場で拓真が溜め息混じりにそう言いながら、携帯をポケットに戻し、
私達がしばらく座り込んで待っていると、程なくして、優介君達は姿を現した。