帰り道、拓真とリン君が優介君をすっかけながら交差点を直進していると、信号待ちをしていたパトカーに見つかってしまい、サイレンが鳴り響いた。
「やっべえ、三車線だし……。優介〜逃げんなよ」
拓真が優介君にそう言った瞬間、優介君は焦ってアクセルを全開にし、私達を置き去りにして逃げ出した。
「あっ、おい!優介!」
拓真とリン君はホーンを鳴らして呼び止めるが、
優介君は一人、先を行った。
「…あのバカ。
こっち女乗せてるうえ、三車線道路じゃねえかよ」
パトカーに追われる際、一番捕まるパターンが、前に出られて進路を失う時。
その為、大きな道路で逃げる時は、台数が多いほど横に並んで車線をバイクで潰せる為、パトカーに前に出られづらい。
片側三車線の道路となると、一台や二台で逃げる為には、警察を前に出させない様に、蛇行運転をする横幅が長くなってしまうので、私達を乗せているせいで、いつもの様に危険な運転が出来ない拓真達にとって、優介君に先に逃げられた事は痛手だった。