すると、数分後。
先ほどの男が、再び私達の所へ来た。
「さ…さっきは悪かった。
達也さんの弟だとは知らなかったから…
ごめんな、気分悪くさせて」
男はリン君が電話した人に怒られたらしく、そう言って謝りながら、ビール代らしき千円を私達の袋の上にソッと置くが、
拓真はいつものごとく、飄々とした態度で、鼻歌を歌いながら無視していた為、リン君が男に答えた。
「いや、こっちこそすみません、チクるみたいなマネして。
本当はこんな事したくなかったんですけど、俺の相方、この場所、気に入ってるんで」
「あ、ああ…またいつでも来てくれよ。
熊谷さんに、宜しくな」
男達はそそくさと帰り、
拓真達は何事もなかったかのように、また飲み始めた。