「リン〜、早くケツ乗れ」
「なんで?」
「おまわりさん」
拓真の視線の先にいたパトカーが、こちらへ向かって走っていた。
「…うわ、めんどくさっ。
この辺り、巻き道ねーのに…」
リン君が面倒くさそうな顔をし、拓真の後ろに飛び乗ると、次の瞬間、拓真が私の顔を見た。
「嫌いなんだよね〜」
「…え」
「弱いものイジメ〜」
「……。」
拓真はそう言ってバイクを走らせ、道路に出た二人にパトカーが気付きサイレンを鳴らすが、拓真はすぐに逃げようとはせず、パトカーが真後ろに付くのを待ち、
それに合わせゆっくりと発進させると、蛇行を切ってパトカーを前に出さない様、逃げ始め、次の瞬間、警察が呆れた様な口調で制止を促した。
「八代〜止まれ。後で家まで行くぞ〜」
警察の言葉に、二人は笑いながら逃げていった。