「あはは。

春美ちゃん、タコが居るよ」



「…?」






海岸へ向かう途中、リン君がそう言った為、前を見ると、浩輝君の後ろに乗った優介君がタコみたいに手足を広げ、クネクネしていた。






「浩輝〜後ろに不振人物が居るぞ。

振り落とせ〜」






拓真がそう言うと、浩輝君は蛇行運転をし、優介君が振り落ちそうになった。






「わっ、危ねえっ!バカ、やめろよ浩輝!」



「優介〜もう少しで故郷の海に着くから慌てるな。

ちゃんと帰りは海に置いていってやるから」



「…本当にやりそうで怖い」





拓真とリン君は変わっていて、他の学校の不良達は後輩をパシリに使い、物を盗んでこさせたり殴ったりするらしいし、後輩が先輩と遊ぶ事も、嫌がることのほうが多い。


今日みたいに先輩に誘われて遊びに行くことも、私達の地元ではラチと称し、先輩にラチられる時は、普通、楽しんだりできないし、後輩側も優介君みたいにリラックスした感じで先輩に接するケースは少ない。







拓真とリン君は、後輩を弟のように大事にする。