「ちゃんと掴まってろよ。 足は絶対タイヤに引っ掛けるなよ」 「あ、うん…」 私は拓真の後ろに乗り、明菜はリン君の後ろに乗って、二人が運転する原付バイクは走り出した。 「春美の家って、どこ?」 「私の家? …次の信号、左だけど」 訳がわからないまま拓真に自宅までの道案内をさせられ、 私は生まれて初めて経験する法律違反に、少しドキドキしながらバイクの風に髪を揺らした。 「……。」