中学に入学してから、一度も喋った事の無かった、拓真とリン君。私達は、お互いの知らない部分を埋める様、その後も夜までずっと話は途切れなかった。




喋っても喋っても時間が足りなく感じたのは、きっと、この二人が凄く優しくて、楽しかったから。






「もう九時だね。

拓真君のお母さんとお姉さんまだ帰って来ないの?」





夜になり、ふいに明菜が壁に掛けられた時計を見上げながら言った。





「親戚の所に行ってるから、今日は帰って来ないよ〜」


「ふうん…会ってみたかったなあ」


「明日か明後日には帰ってくるから、そん時に紹介するよ。

うちの学校の家出少女達が住み着きました〜って」





軽い冗談でそう言えるくらい拓真の母親が優しい人だと分かり、私と明菜は少し安心した。