「まあ…そんな感じでの家出です。

動機、不純かな…?」



「そんな事ないよ。

義理母だけならともかく、父親までが明菜ちゃんに暴力振るうんじゃ、明菜ちゃんの居場所ねえじゃん…」





リン君は親身になって心配そうな顔をしてくれて、黙って聞いていた拓真がボソッと言った。





「腐った大人だな…

帰る必要ねえよ、そんな家」






拓真に続き、リン君が言った。




「うん、二人共しばらくはここに居なよ。

拓真の母ちゃんは理解ある人だし、姉ちゃんも二人の味方になってくれるよ」



「拓真くん、お姉さん居るんだ?」





私が聞くと、拓真はタバコの箱に手を伸ばしながら答えた。






「兄貴も居るよ〜。どっちも元ヤン。

兄貴は独り暮らしだから、ここには住んでないけど」


「へえ、そうなんだあ」